口田 栄治
息切れ?内臓にも影響?それは横隔膜
更新日:2021年4月30日

目 次
1.息があがる?年のせい?運動不足?
2.隔膜は筋肉です
・筋肉は動いてなんぼ
・息を止めることが多くなった?
・横隔膜が上がると息を吐き、下がると息を吸う
・普段意識しない横隔膜は重要
2.横隔膜の上の臓器と下の臓器
・横隔膜の上は胸、下は腹
・横隔膜の上の臓器への影響
・横隔膜の下の臓器への影響
3.姿勢の影響
4.「なぜ深呼吸することが大事なのか?」
・ガス交換の際の絶対的なルール
・酸素不足は脳にダメージ
5.まずは深呼吸をしよう
息があがる?年のせい?運動不足?
信号が赤になりそうな時や、電車に
急いで乗ろうとした時に、少し走っ
ただけで息があがる。
駅の階段を上ると息があがり、昔は
すぐに息は落ち着いていたのが、今
はハアハアがが続く。
軽い負荷で息が上がる原因は色々考
えられます。
赤血球の酸素運搬能力の低下、肺で
のガス交換能力の低下や更年期と関
連付けようとする人までいます。
そんな難しい事を考える前に、まず
は肺にたっぷり空気を入れる事が前
提です。
普段から肺にたっぷり空気を入れる
事をしていないと、いざという時に
たっぷり空気を取り入れる事ができ
ないので酸欠になり、”ハアハア”
となるのです。
肺に空気をたっぷり入れるには、横
隔膜が大きく動く必要があります。
その横隔膜について書いてみました。
横隔膜は筋肉です

動くのは筋肉、動いてなんぼ
あまり意識された事が無い筋肉、そ の筋肉は、「横隔膜」です。 膜と呼ばれていますが、腕や脚につい
ている筋肉と同じ種類の骨格筋です。 呼吸は、横隔膜の収縮と弛緩によりる
もので、肺自体が膨らんだり縮んだり
している訳ではありません。 肺はガス交換をする器官で、血液中
の二酸化炭素を排出し、酸素を血液
中に取り込む事をしています。
息を止める事が多くなった?
横隔膜は筋肉です。
筋肉は、使わ(動かさ)ないと衰え
て硬くなります。
パソコンやスマホを見てる時に、息
を止めていた事に気づいたことはな
いでしょうか? 本や新聞など、紙に書かれている文
章を読むときは普通に呼吸していま
すが、同じ文章をパソコンやスマホ
で読むと呼吸の回数が減るというデ
ータがあります。
一回の呼吸の速度が遅くなったわけ
ではなく、息を止めている時間があ
るために回数が減っているというも
のです。
息を止めるということは、横隔膜を
動かさない事になります。 もう一度言います。
横隔膜は筋肉です。
筋肉は、使わ(動かさ)ないと衰え
て硬くなります。
横隔膜が上がると息を吐き、下がると息を吸う
日常生活では、横隔膜が弛緩してい
く時に息を吐いて、その時横隔膜は
上に上がっていきます。 横隔膜が収縮していく時に息を吸っ
ていて、その時横隔膜は下に下がっ
ていきます。 この横隔膜を大きく動かす事をして
いないと縮んでしまい、本来の位置
より下がった状態になってしまい、
すでに下がった状態から横隔膜が収
縮しても呼吸が浅くなり、入ってく
る酸素の量が減ることになります。
普段意識しない横隔膜は重要
人は、60兆個からなる細胞で構成
されています。 そう考えると、呼吸が浅くなり、酸
素が全身にいきわたらず、酸欠の細
胞がでてくるでしょうね。
細胞は酸素がないとエネルギーを作
り出せず正常に活動できなくなります。
だから、老化とか病気とかになって
いくのですね。
酸素を多く取り込む事ができると、 体の細胞が活性化し体が元気になり 疲れの残らない体になります。 激しい運動をしても、すぐに疲れが
回復し、体を多く動かす事ができます。 体を多く動かす事ができればどんど
ん体力がつきます。 横隔膜は、疲れない体を作るために 大切な役割を担っています。
横隔膜の上の臓器と下の臓器

横隔膜の上は胸、下は腹
横隔膜によって内臓を上下に胸部と
腹部に分けています。 横隔膜の上には、循環器のポンプ役
の心臓と呼吸器の要の肺があります。 横隔膜の下には、肝臓や胃、腸など
のさまざまな臓器がびっしりと配置
されています。 背中を丸めて生活し続けると、横隔
膜が圧迫され縮んだ状態になります。 横隔膜が縮んでしまうと本来の位置
より下がった状態になってしまい、 呼吸が浅くなり入ってくる酸素の量
が減ります。 酸素の量が減るだけではありません。 横隔膜の上下の臓器に影響を与えます。 その結果、検査ではなんともないのに 不整脈がでたり、貧血でもないのに息
が切れたり、便秘や下痢が続いたりす
る事があります。 内臓は、正しい位置におかれたとき、 その機能を十分に果たすことができます。
横隔膜の上の臓器への影響

左右それぞれの肺は胸膜という膜に
覆われています。 胸膜の下側は横隔膜と繋がっています。 右の胸膜と左の胸膜の中間に「縦隔」
と呼ばれる場所があります。 その縦隔に心臓があります。 心臓は心膜という膜に覆われています。
右の胸膜と左の胸膜と心臓の心膜は
繋がっています。 よって、
その1
横隔膜が下に引っ張られると心膜が
緊張する事になる。 結果、心臓を検査しても異常はない
が不整脈などの症状が現れます。 その2 横隔膜が下に引っ張られると胸膜が
下に引っ張られ肺が緊張します。 結果、普段より少し動いた時に横隔
膜を動かそうとしても動かないので
階段を上っただけで息が切れたり、
疲れやすく疲れがとれにくくなる。
横隔膜の下の臓器への影響

横隔膜の下の臓器の一つでも押さえ
つけるととなりの臓器が次々と押し
つぶされることになります。 押しつぶされた内臓は、従来の機能
を果たすことができなくなるため、 さまざまな症状を引き起こします。 1.肝臓が下に押される →腎臓が下に押される →大腰筋が押されて緊張する (腰痛・ぎっくり腰になる) →小腸が左に押される →子宮が左に押される →大腸(S状結腸)が圧迫される →便秘になる 2.脾臓が下に押される →膵臓が下に押される →大腰筋が下に押されて緊張する →腰痛・ぎっくり腰になる 3.小腸が下に下がり右に押される →小腸と大腸のつなぐ弁「回盲弁」
が圧迫される (回盲弁が開いたままになる) →下痢になる 思い当ることがないのに腰痛になっ
たり便秘や下痢が続く時は、横隔膜
が動かなくなっている可能性があり
ます。
姿勢の影響
背中を丸めて生活していると、横隔
膜が押さえつけられ横隔膜が動かな
くなるので、今まで書いてきたよう
な、横隔膜の上や下の臓器に影響(
ストレス)をかけ、いろんな症状が
出てきます。 さあ、姿勢を正して生活し、深呼吸
をして横隔膜を大きく動かしましょう。
「なぜ深呼吸することが大事なのか?」
ガス交換の際の絶対的なルール
呼吸一回の換気量は安静時で約450
~500ml。 成人男性の肺活量は3000~
4000mlくらい。 機能的残気量といって息を吐いても 肺の中には空気が残るようになって
います。 そのため3000mlすべてが換気に使
われることはありません。 肺呼吸に関して簡単に説明すると例
えば、一回の換気量が浅く速い呼吸
が約250ml。 深くゆっくりな呼吸が約1000ml
とすると、当然「浅く速い呼吸」で
はその分回数が多くなり「深くゆっ
くりな呼吸」ではその分回数が少な
くなります。 なので1分あたりで考えると浅い呼
吸が32回前後、深い呼吸だと8回前
後とすると、単純にかけ算して 浅い呼吸は 250ml×32回=8000ml 深い呼吸は 1000ml×8回=8000ml どちらも1分あたりにガス交換され
る量は同じ!
ってなりそうですが・・・ そうです、すべてが換気に使われる
ことはありません。 それは、「死腔」という存在! 私たちが空気を吸っても一部の空気
150mlくらいは気道にとどまって、 肺までいかないので実際に肺でガス
交換されるのは安静時で約350ml
程度だといわれています。 どんなに深呼吸して大量の空気を取
り入れても、この死腔量150mlは
変わりません。 つまり 浅い呼吸は (250ml-150ml)×32回=3200ml 深い呼吸は (1000ml-150ml)×8回=6800ml ちなみに安静時呼吸では (500ml-150ml)×16回=5600ml ガス交換量でいうとこれだけの違い
が出てきます。
酸素不足は脳にダメージ
私たちの脳は取り込んだ酸素の30
~50%を消費していると言われて
います。
それだけ体のなかでも沢山必要なの
ですが、脳にとって必要な酸素供給
量が呼吸の仕方一つで倍近い差が出
てしまうわけです。 もちろん、脳に限らず全ての組織の
細胞に酸素は不可欠ですよね。 呼吸の浅い人は、呼吸の回数(胸郭
運動を増やさなければなりません。 吸って吐いての運動をたくさん行う
必要があるのです。 そして、その際に胸郭の上下運動が 伴うのですがそれには横隔膜や内肋
間筋、外肋間筋といった筋肉の収縮
が必要で、呼吸の浅い人は胸郭運動
の回数が多いため筋疲労と筋緊張も
強く、余分なエネルギーを消耗し、 疲れやすい悪循環にハマっていきます。
悪循環にハマらない様深呼吸をして 大きく胸郭を動かせる様になって、 1回で沢山のガス交換ができる訓練
をしておきましょう。
さあ、姿勢を正して生活し、深呼吸
をして横隔膜を大きく動かしましょう。
まずは深呼吸をしよう
今までの内容からまとめると、ポイ
ントは「横隔膜を大きく動かす」です。
「大きく息をすって吐き切る」です。
〇秒すって〇秒はく、みたいな事は
お好みでどうぞ。
横隔膜を大きく動かすとの下の内臓
を圧迫と解放ができますので、内臓
の血流をよくする事も可能です。
女性は特に子宮・卵巣への血流がホ
ルモンバランスに大きく関わってき
ます。
子宮・卵巣の血流やホルモンバラン
ス、妊活など気になる方は、内臓の
血流が良くなるイメージで深呼吸を
してくださいね。
※
内臓を意識した深呼吸ができている
かチェックして欲しい方はお問合せ
下さい。
症状やお悩みに合わせた他の運動方
法などもおつたえできます。