口田 栄治
どうして気にならないの?硬い体
更新日:2021年5月7日

目 次
1.体はかたいけど気にならない?
2.筋肉がかたくなる以外な理由
・筋膜が硬くなる
・食べ過ぎが柔軟性を失わせる!
・筋トレで筋肉が硬くなる?
3.ストレッチしているのに柔らかくならない
・ストレッチは疲れないトレーニング
4.体が硬いとケガをしやすい?
・筋肉以外も硬くなるから
5.体が硬いと疲れやすくなる?
6.体の硬さとパフォーマンス
体はかたいけど気にならない?
筋力や持久力に比べて、柔軟性がな
いからと危機感を覚える人は少ない
のではないでしょうか。 しかし、疲れやすい、腰痛や肩こり
、姿勢が悪い、つまずきやすくなっ
た・・・など、これらはすべて柔軟
性の不足からくる影響もあります。
筋肉がかたくなる以外な理由

筋膜が硬くなる
筋肉を形成する筋繊維自体は、運動
不足や加齢によって、それほど硬く
なるものではありません。 筋肉の柔らかさが失われるとは、筋
肉の間にあるコラーゲンや、筋肉を
覆っているコラーゲンで出来ている
筋膜が硬くなる事を意味します。 コラーゲンは動かさなければ徐々に
硬くなってしまうのです。 仕事、家事、余暇で活発な生活を送
っていれば、あるいは週に1~2回
でもスポーツをしたり、フィットネ
スクラブに通ったりして体を動かし
ていれば、筋肉は柔らかいままキー
プできますが、体を動かさない生活
が続くとだんだん硬くなっていきます。 そのような活動になかなか時間がと
れない方は、お家でできるストレッ
チをしてはいかがでしょうか?
筋肉が柔らかくなり、関節が大きく
動くようになり、柔軟性が高まります。
食べ過ぎが柔軟性を失わせる!

柔軟性を決める最も大きな要因は運
動不足によって筋肉が硬くなること ですが、以外なところで食べ過ぎも
影響します。 ①食べ過ぎて太ることで体脂肪が増
え、関節の動きを制限すること。 ②食べ過ぎることで筋肉そのものが
硬くなること。 ①の場合
太っていてもしっかりストレッチを
すれば柔軟性は維持あるいは向上で
きます。 ②の場合 食事量を減らしてストレッチをしっ
かり行えば、柔軟性は回復します。 では、なぜ食べ過ぎそのもので筋肉
が硬くなるのでしょうか? 食事を摂ると血糖値が上昇します。 食べる量が多かったり四六時中食べ
ていると、血糖値が常に高い状態に
なります。 この糖分は体のエネルギーになる大
変重要な栄養素ですが、多すぎると 体の様々な組織、器官、細胞と結び
ついて、その機能を鈍らせる「糖化」 という現象が起きます。 糖化は筋肉にも起こり、筋肉内や筋
肉の膜などのコラーゲンを硬くし、 筋肉の柔軟性を奪ってしまうからです。
筋トレで筋肉が硬くなる?

筋トレで筋肉がついたから、太くな
ったからといって柔軟性が失われる
わけではありません。 また、筋肉が減ったから、細くなっ
たからといって柔軟性が高まるわけ
でもありません。 運動不足で筋肉が細くなるとともに 柔軟性が失われることはあっても、 筋トレが柔軟性を低下させる直接の
原因とはなりません。 ただし、過剰に筋肉がついた場合は 柔軟性を低下させる可能性があります。 この場合、関節を大きく動かそうと
しても、筋肉と筋肉がぶつかり合っ
てしまうためです。 筋肉が太くなる=筋肉がどれだけ強
い力を発揮できるかという筋力 体が硬い柔らかい=筋肉がどれだけ
伸長することができるかという柔軟性 なので、 「柔軟性を失うかも」と心配をして、 筋トレを躊躇する必要は全くありません。
筋肉は柔らかいほどいい?
柔軟性が高いと良いことがたくさん
あるのですが、極端に柔軟性が高い
場合には、困った問題が起きます。 柔らかいとは、裏を返せば「ゆるい」
こと。 柔軟性が高いと安定性に欠けやすい
のです。 筋肉が硬いと関節の動く範囲が制限
されますから、可動性は低いのです
が安定性が高くなります。 逆に関節がゆるい場合は、可動性が
高いものの安定性に乏しく、強い力
が加わると脱臼しやすくなります。 しかし、心配は無用です。 自分自身でストレッチをやったから
といって、過度に関節がゆるくなる
ことはないので、しっかりストレッ
チをしてあげましょう。
ストレッチをしているのに柔らかくならない?

ストレッチの効果は、柔軟性を高め
ることですから、ストレッチをやっ
ても結果がでないというのはおかし
な話です。 そういった方々の大半は、ストレッ
チをやるにはやっているがごく短時
間しか行っていません。
ほとんどの人はストレッチの時間が
短すぎです。 筋トレやランニング、スポーツの練
習に1時間や2時間、たっぷり時間
をかけているのに、ストレッチには
5分からせいぜい10分程度と、1
割かそれに満たない時間しか割いて
いないのです。 筋トレやスポーツにかける時間のせ
めて2~3割は時間をかけてストレ
ッチしてみましょう。
ストレッチは疲れないトレーニング
ストレッチは、唯一疲労を起こさな
いトレーニングです。 むしろ、疲労を予防したり、疲労回
復を促進したり、ケアとしての効果
さえあります。 特別な道具も必要なく、テレビを見
ながらでもできてしまうのですから もう少し時間を見直してはいかがで
しょうか?
体が硬いとケガをしやすい?

柔軟性が高いとケガをしにくくなる
とは、一般によく言われていますが、 これは紛れもない事実です。 筋肉や腱は基本的にそのものが収縮
する時に切れるのではなく、他の筋
力や床から受ける反力、他人の力に
よって強制的に伸ばされた時に切れ
ます。 この時柔軟性が低い、つまり伸張す
る能力が低いと、切れる確率は高ま
ります。 20才以降、私たちの体力は放って
おけば加齢にともなって徐々に低下
します。 柔軟性も同じで、成人してから少し
ずつ柔軟性の低下は起こります。 中高年になるとそれが日常生活で自
覚できるほど顕著に表れます。 顔を洗おうとしてぎっくり腰になっ
たり、くしゃみをして背中が痛くな
ったり、10代、20代では起こり
得なかった事が起きます。 これらの例は瞬間的な力が加わって
起こったケガですが、柔軟性が高い
と、長期間や反復の刺激が原因で起
こるスポーツ障害にもかかりにくく
なります。 筋や腱の柔軟性が低下してうまく伸
びにくくなると、反対の筋肉が収縮
して起こす動きに対して抵抗となり より強い力で引っ張られることにな
ります。 すると、筋肉や腱、特にそれが骨と
つながる付着部近くに炎症が起こり
ます。 じつは、10代でもこれと同じ様な
事がおこります。 「成長痛」とよばれるもので、成長
期の骨が急激に伸びるのに対して、 筋肉の長さの成長が骨の伸びる成長
に追いつけないため、相対的に柔軟
性が低下した状態になって起こります。 成長期の人も、成長期を過ぎた人も、 柔軟性を高めるためにストレッチは
有効です。
筋肉以外も硬くなるから
川﨑医学会の論文報告です。
胸部での石灰化の好発部位
①大動脈弓
②肋軟骨
③気管・気管支軟骨
60才以上295名男女別
胸部の石灰化比較
男性
60才以上①24.4%②31.1%③2.2%
70才以上①42.5%②42.5%③3.4%
80才以上①63.6%②66.7%③3.0%
女性
60才以上①39.0%②78.0%③12.2%
70才以上①43.3%②80.0%③20.0%
80才以上①64.3%②92.9%③42.9%
(川崎医学会論文報告より)
①の大動脈弓の石灰化は男女ほぼ同
じですが、②の軟骨部分は、女性の
方が男性に比べると多くなっており
そして、早期に現れています。
60代の女性で倍以上になってきて
いますが、閉経などのホルモンバラ
ンスの影響でしょう。 (このデータで気になるのは、骨粗
鬆症の治療を受けている人がどれだ
け含まれているのか?ですが、不明
です)
「石灰化=かたくなる」です。
大動脈弓、肋軟骨、気管・気管支軟
骨の柔軟性がなくなることになります。 硬くなると動きが悪くなり壊れやす
くなり、結果として循環器系や呼吸
器系トラブルに繋がります。
※肋軟骨、気管・気管支軟の石灰化
で1回の呼吸で肺に取り込まれる空
気の量がへります。
そして、横隔膜が硬くなっていると
さらに肺に取り込まれる空気の量が
減ります。
一通り読まれた後にこちらもご覧く
ださい。
↓↓↓
体が硬いと疲れやすくなる?

体が疲れやすい原因の一つとして柔
軟性不足が考えられます。 私たちは体を動かす時に筋肉を収縮
させるわけですが、その筋肉と反対
の働きをする筋肉(拮抗筋)が硬い
とこれが抵抗になってしまうので、 より大きな力を出ださなければなり
ません。 余分にエネルギーを消費する事にな
ります。 柔軟性の高い人は、柔軟性の低い人
に比べ、無駄なエネルギーを使わな
くなる。
つまり体の効率がよくなるわけです。 柔軟性の低い人は、日常生活におい
て、物を拾い上げる、つり革を持つ、 椅子に座る、といったごく普通の場
面で余分な力を使わなければならず、 その分疲労しやすいのです。 日常生活で疲れやすいと感じている
なら、原因の一つは柔軟性不足によ
るものかもしれません。 ※注 体の極端に柔らかい人も、疲れやす
くなります。 それは、柔らかいがために、関節を
安定させるための余分な力が必要と なってくるためです。 その場合は、筋力UP(筋トレ)が 必要となってきます。
体の硬さとパフォーマンス
速く走る、150キロの剛速球を投
げる、ゴルフの飛距離を伸ばす。 スポーツにおいて多くの人はフォー
ムの改造と筋力トレーニングで、筋
力や瞬発力アップに励むことでしょう。 それ以外に、柔軟性もスピードアッ
プに関係しています。 例えば、車はいきなり時速100キ
ロのスピードを出すことはできません。 同じ力を出し続ける場合、等加速度
運動が起こり、時速10キロ、20
キロと時間と移動距離に応じてスピ
ードは徐々に上がっていきます。 人間においても同様です。 柔軟性が高いと関節の可動域が広く
なるため、それだけで手足が移動す
る距離が大きくなります。 それだけ力を伝える時間が長くなる
ので、スピードが速くなります。 例えば、ゴルフでは股関節、肩甲骨、 肩関節を大きく動かせることで、テ
イクバックが大きくとれ、同じ筋力
であってもクラブに力を伝えて加速
する時間が長くなり、インパクトの
瞬間のヘッドスピードは速くなると
いうわけです。
からだが硬いことを自慢げに言われ
る方もいますが、これでも「からだ
硬いから!」で済ませますか?